シングルモルトとブレンデッド・ウイスキーの違い
ウイスキーの種類は産地や原料など色々なジャンル分けがありますが、今回はシングルモルト・ウイスキーとブレンデッド・ウイスキーの違いについて簡単にご紹介します。
主な違い
「シングルモルト・ウイスキー」は大麦から作るモルト・ウイスキーのみを使用していますが、「ブレンデッドウイスキー」はグレーン・ウイスキーという穀物から造るウイスキーをベースにして、モルト・ウイスキーを数十種類混ぜて造られるものです。
なぜこんなことをするかというと、大きく分けて2つ理由があります。
1つはグレーン・ウイスキーは大量生産が可能で安いこと。穀物を使用していることと、連続蒸留といって比較的速いペースで生産が可能であるというのが理由です。
ただ安いけど、香りが地味で、これだけでは少し厳しい。そこで、これをベースにモルト・ウイスキーで味を足していきます。ちなみにこのブレンドを任されるのがブレンダー。バランタインには歴代名ブレンダーがおり、人によっては何千という香りを嗅ぎ分けるそうです。
ブレンドする2つめの理由は、クセの強いモルト・ウイスキーとおとなしいグレーン・ウイスキーを混ぜることで比較的飲み易い、穏やかな味わいのウイスキーが出来るということです。
事実、スコットランドの地酒にすぎなかったウイスキーが世界中に普及したのも安く大量生産が可能なブレンデッド・ウイスキーが誕生したおかげとも言われます。なお、ウイスキー発祥の地はスコットランドですが、ブレンデッド・ウイスキーを発明したのはイギリス人。スコットランド人の地酒に過ぎなかったウイスキーが世界中に広がったのは、ブレンデッド・ウイスキーにより、大量生産が可能になったからという一面もあります。
というわけで纏めると、ブレンデッド・ウイスキーの特徴は
①比較的価格が安いこと
②まろやかでとっつきやすく飲み易いこと
③様々なモルトが織り成す複雑な味わいを楽しめること
となります。
シングルモルト・ウイスキー>ブレンデッド・ウイスキー?
現在はシングルモルト・ウイスキーがブームで、どうもブレンデッドが軽視されがちですが、まろやかさや調和の取れた味わいを楽しめるブレンデッド・ウイスキーならではの特徴も味わっていただきたいところです。
ちなみに前回紹介した竹鶴は一般的に「ヴァッテッド・モルト」と呼ばれるものです(竹鶴はpure maltと自称しています)。
これは複数の蒸留所で作ったモルトウイスキーを混ぜて作ったもの。シングルモルトのシングルとは単一の蒸留所という意味があります。
複数(通常は2つですが)のシングルモルトを混ぜたものと解釈すると分かりやすいです。竹鶴は「余市」で作ったモルトウイスキーと「宮城峡」で作ったモルトウイスキーを混ぜています。竹鶴を含むヴァッテッド・モルトはグレーン・ウイスキーを使用していないので、「ブレンデッド・ウイスキー」ではありません。
まとめ
という訳で違いは製法によるもの。どちらが良い、悪いというものではありません。広い心で違いを確かめながら味わうとウイスキーの世界が広がります。