ブレンデッドスコッチウイスキーの定番『バランタイン ファイネスト』を飲みました。言わずと知れた名スコッチです。
ヨーロッパにおけるスタンダードとして揺るぎない地位を獲得しており、世界で売れている3本に1本はバランタイン ファイネストです。
イタリアでも人気があるらしいのですが、私はアル・パチーノに激似ながらイタリア人ではないので真偽の程は分かりません。
ただ、確かにこの価格でこのクオリティはすごいです。昔ははるか雲の上の存在だったみたいですが、今は¥1,000ちょっとで買えてしまいます。
バランタイン ファイネスト 味の評価
香りは独特の感じ。甘い香りのなかにスモーキーさがあり、深く熟成されたかのような香りを感じることが出来ます。
結構クセがある感じですが、定番となっているのが凄いところ。
このクセに病みつきになっている人が多いことが伺えます。これがウイスキーなんやで!といった味わいです。
飲む時の体調によって様々な面を見せるような感じがします。この価格帯の他のスコッチとは一線を画しています。
是非一度飲んで見て下さい。ブレンドウイスキーの奥深さを手軽に味わうのには最適だと思います。
ちなみに、バランタイン17年はザ スコッチの異名を持つ逸品。かつてはファン垂涎の的。まだ飲んだことはありませんが、これも¥4,000~で買えるのですから、やはり凄い時代だと思います。
ここからはバランタインに関する蘊蓄になります。
バランタインの歴史
バランタイン社の創業者はジョージ・バランタイン。19歳でスコットランドのエディンバラに小さな食料品店を開いたのがバランタイン社の始まりです。最初は食料品が中心だったそうですが、徐々にワイン、ウイスキーの取り扱いを増やしていきます。そこから26年後、ジョージの友人が熟成期間の異なる数種類のモルトウイスキーを混ぜ合わせた製品を発売して成功。それに感銘を受けたジョージは穏やかなグレーンウイスキーと個性豊かなモルトウイスキーのブレンドに可能性を感じで試行錯誤の日々が始まります。70代にさしかかる頃には優れたウイスキー・ブレンダーとして広く名前が知られるようになり、取引先も世界へと広がっていきます。1895年、ヴィクトリア女王によりバランタイン社に王室御用達の名誉が与えられ、さらに大きく飛躍することになりました。ジョージ以降、長い歴史の中でもたった4人のマスター・ブレンダーにより今日まで進化を続けています。
バランタインの製法
バランタインは穀物由来のグレーンウイスキーをベースにモルトウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーになります。1910年発売以来、バランタイン社の主要な輸出製品となっています。
また、バランタイン社の設立者であるジョージ・バランタインはブレンデッドウイスキーの産みの親でもあります。ブレンド自体は新しいものではなかったのですが、当時のブレンドは金儲けしか頭にないウイスキー商や宿屋の主人たちがこっそりとウイスキーに安酒を混ぜて売っていたとのことです。ジョージ・バランタンが目指したのは全く逆で、各種のウイスキーを組み合わせることで、個々の原酒に勝る味わいをつくりだそうとしたのが今日に至るブレンデッドウイスキーの源流となっています。
バランタインはスコットランドの4つの生産地であるスペイサイド・ハイランド・アイラ・ローランドから40種類のモルト原酒をつかってブレンドされています。その原酒を「4,000酒類の香りをかぎ分ける」ロバート・ヒックスら歴代のマスターブレンダーが絶妙な配合でブレンド。現在は5代目のサンディー・ヒスロップ氏が5代目マスターブレンダーとして活躍しています。
バランタインのキーモルト
現在のバランタイン ファイネストのキーモルトには
- グレンバーギー
- ミルトンダフ
- グレントファーズ
があります。
グレンバーギー(Glenburgie)
1810年創業。スコットランド最大のウイスキー生産地、スペイサイドで207年もの間稼働してきたグレンバーギー蒸溜所で生み出される原酒は、バランタインの中核を担っています。赤リンゴや洋ナシ、カシスのようなフルーティーさと、ハチミツのような甘美さが醸し出す、バランスがとれたアロマ香るリッチな味わいが特長です。シングルモルトウイスキーも12年、15年、18年というラインナップがあり、グレンバーギー15年はISC 2020において、最高賞であるトロフィーを受賞しています。
ミルトンダフ(Miltonduff)
1824年創業、スペイサイドで生み出される原酒は同じくバランタインの骨格を担う力強いシングルモルト。シナモンが仄かに香るスパイシーかつフローラルな香りのウイスキーです。
グレントファーズ(Glentauchers)
バランタインの繊細な後味を決定づけるシングルモルト。ヘザーの花を思わせる繊細な芳香と口の中に広がるソフトベリーのような香味と甘みが大きな特長となっています。
バランタインの隠し味はラフロイグ
キーモルトにはあまりスモーキーなものはないのですが、バランタイン独特の微かなスモーキーフレーバーはアイラ島で作られているスッキリとしたスモーキーフレーバーが特徴である「ラフロイグ」によって生み出されています。
突出した味わいがないようにブレンドしているバランタインですが、にラフロイグを一滴垂らして飲んでみるのもまた一興。
バランタインのボトルに描かれた紋章の秘密
中央の盾の部分は4つに分かれていて、ウイスキー作りの4台要素になっています。
左上がウイスキーの原料となる「大麦」。水につけて発芽させ、ある程度のところで発芽をとめて乾燥させます。そのときの熱源に使うのがピートと呼ばれる泥炭で、ウイスキー独特のスモーキーな味わいを生み出します。
右上が「原野を走る清流」です。粉砕した麦芽は清冽な水とまじりあって麦汁となります。これに酵母を加えて発酵させることによりアルコールと芳香成分が生まれます。
左下がポットスチル(蒸留窯)。水とアルコールの沸点の違いを利用してアルコールと香味成分を取り出します。通常は2回蒸留され、若い無力透明のモルトウイスキーが出来上がります。樽熟成が発見される以前はこれをそのまま飲んでいたそうです。
右下に描かれるているのはオーク樽。ウイスキーはオーク樽をゆりかごにして、長い時間をかけて味を滑らかにしていきます。ウイスキーの琥珀色はこの時に着く色です。
バランタインの蘊蓄 まとめ
長い歴史や拘りを聞くと同じバランタイン ファイネストでもよりありがたく感じます。これぞウイスキー!という味わいは一度は試して損はありません。