スコッチ

「バランタイン 12年 ブルー」はバランタイン・ファイネストの上位互換にあらず

2013年10月10日

ballantines-blue バランタイン ブルー

ブレンデッドウイスキー「バランタイン 12年 ブルー」を飲んでみました。

現状「バランタイン ブルー」という商品は存在しないようです。名前が単に「バランタイン 12年」となったのか、かつてのブルーとは別物なのか定かではありません。

バランタイン 12年を開けるのは3本目ですが、最初の方はあまりありがたみがなかったこのお酒。同じ価格なら竹鶴12年かな、と思っていたからです。今はかなり好きな一品です。

バランタインブルー 深いコク

バランタイン 12年 ブルーはまろやかなコク、バニラのような甘い香り、バランスのとれた味わい、爽やかな後味といったウイスキーのよさを余すところなく堪能できる1本に仕上がっています。ほのかにスモーキーさもあります。

ご存知の方も多いと思いますが、バランタイン 12年 ブルーは元々日本市場向けに、水割り用として開発されたとか。

このクラスのものを水割りにするのは少々惜しい気がしますが・・・しかしストレートで飲んでもおいしい。ロックでもよし。個人的にはストレートが好みです。

¥2,000クラスのブレンデッドはバランタイン 12年 ブルーしか飲んだことがありませんが、今は敢えてこれ以外のものを選ぶ理由がありませんがどうなんでしょう。

バランタインブルーとバランタインファイネスト

バランタイン 12年 ブルーは、バランタイン・ファイネストと比べると当然ですが洗練された感じがします。

特にこのシルクのごとある滑らかさは際立ってます。

穏やかでコクのある、大人のウイスキーといった趣があります。

あくまでバランタイン・ファイネストの味の延長にあるのですが、ファイネストと比べるとややスモーキーさが少なめなので大人しい印象も受けます。

良いウイスキーであることは確かですが荒々しいバランタイン・ファイネストの強烈な個性も捨てがたくこの二つは甲乙つけがたし。

参考記事

ただし、ロックや割って飲むならブルーの方がイイと思います。

そう確信出来るバランスの良さはすごいと思います。ザ・スコッチの異名を持つバランタイン 17年もこれらの延長線上にあると思うと感慨深いものがあります。

関連記事

ここからはバランタインに関する蘊蓄になります。

バランタインの歴史

バランタイン社の創業者はジョージ・バランタイン。スコットランドのエディンバラに小さな食料品店を開いたのが始まりです。

最初のうちは食料品が中心だったそうですが、徐々にワイン、ウイスキーの取り扱いを拡大。

26年後、ジョージの友人が熟成期間の異なる数種類のモルトウイスキーを混ぜ合わせた製品を発売して成功。

その成功に感銘を受けたジョージは穏やかなグレーンウイスキーと個性豊かなモルトウイスキーのブレンドに可能性を感じで試行錯誤の日々が始まります。70代にさしかかる頃には優れたウイスキー・ブレンダーとして広く名前が知られるようになり、取引先も世界へと広がっていきます。

1895年、ヴィクトリア女王によりバランタイン社に王室御用達の名誉が与えられ、さらに大きく飛躍することになりました。ジョージ以降、長い歴史の中でもたった4人のマスター・ブレンダーにより今日まで進化を続けています。

バランタインの製法

バランタインは穀物由来のグレーンウイスキーをベースに、複数のモルトウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーになります。スコットランドの原酒を使って製造しているので、「ブレンデッド スコッチ ウイスキー」ということになります。1910年発売以来、バランタイン社の主要な輸出製品となっています。

また、バランタイン社の設立者であるジョージ・バランタインはブレンデッドウイスキーの産みの親ともいわれます。

というのも、ブレンドするという行為自体は新しいものではなかったのですが、当時のブレンドは金儲けしか頭にないウイスキー商や宿屋の主人たちがこっそりとウイスキーに安酒を混ぜて売っていたらしい。

ジョージ・バランタンが目指したのは全く逆で、各種のウイスキーを組み合わせることで、個々の原酒に勝る味わいをつくりだそうとしたのが今日に至るブレンデッドウイスキーの源流となっています。

バランタインはスコットランドの4つの生産地であるスペイサイド・ハイランド・アイラ・ローランドから40種類のモルト原酒をつかってブレンドされています。その原酒を「4,000酒類の香りをかぎ分ける」といわれるマスターブレンダーが絶妙な配合でブレンド。なお、時代と共に味は少しづつ変化しています。

バランタインのキーモルト

バランタインのキーモルトには

  • グレンバーギー
  • ミルトンダフ
  • グレントファーズ

があります。それぞれ軽くご紹介します。

グレンバーギー(GLENBURGIE)

1810年創業。スコットランド最大のウイスキー生産地、スペイサイドで207年もの間稼働してきたグレンバーギー蒸溜所で生み出される原酒は、バランタインの中核を担っています。赤リンゴや洋ナシ、カシスのようなフルーティーさと、ハチミツのような甘美さが醸し出す、バランスがとれたアロマ香るリッチな味わいが特長です。シングルモルトウイスキーも12年、15年、18年というラインナップがあり、グレンバーギー15年はISC 2020において、最高賞であるトロフィーを受賞しています。

ミルトンダフ(MILTONDUFF)

1824年創業、スペイサイドで生み出される原酒は同じくバランタインの骨格を担う力強いシングルモルト。シナモンが仄かに香るフローラルな香りのウイスキーです。

グレントファーズ(GLENTAUCHERS)

バランタインの繊細な後味を決定づけるシングルモルト。ヘザーの花を思わせる繊細な芳香と口の中に広がるソフトベリーのような香味と甘みが大きな特長となっています。

バランタインの隠し味

キーモルトにはあまりスモーキーなものはないのですが、バランタイン独特の微かなスモーキーフレーバーはアイラ島で作られている「ラフロイグ」由来。突出した味わいがないようにブレンドしているのでラフロイグ感は仄かに感じる程度ですが、バランタインにラフロイグをほんの僅かに垂らして飲んでみるのもまた一興。

バランタインのボトルに描かれた紋章の秘密

バランタインの紋章
盾の中に4つの要素が描かれる

中央の盾の部分は4つに分かれていて、ウイスキー作りの4台要素になっています。

左上がウイスキーの原料となる「大麦」。水につけて発芽させ、ある程度のところで発芽をとめて乾燥させます。そのときの熱源に使うのがピートと呼ばれる泥炭で、ウイスキー独特のスモーキーな味わいを生み出します。

右上が「原野を走る清流」です。粉砕した麦芽は清冽な水とまじりあって麦汁となります。これに酵母を加えて発酵させることによりアルコールと芳香成分が生まれます。

左下がポットスチル(蒸留窯)。水とアルコールの沸点の違いを利用してアルコールと香味成分を取り出します。通常は2回蒸留され、若い無力透明のモルトウイスキーが出来上がります。樽熟成が発見される以前はこれをそのまま飲んでいたそうです。

右下に描かれるているのはオーク樽。ウイスキーはオーク樽をゆりかごにして、長い時間をかけて味を滑らかにしていきます。ウイスキーの琥珀色はこの時に着く色です。

バランタインの蘊蓄 まとめ

長い歴史や拘りを聞くと同じバランタイン ファイネストでもよりありがたく感じます。これぞウイスキー!という味わいは一度は試して損はありません。

キーワード(タグ)で探す

サイト内検索

  • この記事を書いた人

ともぞう

ウイスキー初心者のアラフォー会社員です。ほかに『Chrome通信』や『OLD ROOKIE』を運用しています。

こちらの記事もおすすめです

-スコッチ
-